一般的な賃貸物件よりも、共用設備が充実していたり、室内の設備のグレードが高い分譲賃貸のマンションは人気が高くなっています。
しかし、分譲賃貸の物件には「定期借家」との注意書きがあることもあります。
今回は、定期借家契約とは何か、途中解約や更新のルールについて解説します。
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定期借家契約とは?
定期借家契約とは、賃貸借契約の期間があらかじめ決められている契約のことです。
契約期間が満了した時点で契約は終了するため、借主は退去して物件を明け渡すことになります。
ただし、一定の条件を満たせば再契約することも可能です。
普通借家契約との違いは?
定期借家契約と比較対象として、普通借家契約があります。
普通借家契約の場合、当初の契約期間が終了しても、借主である借主が住み続けることを希望した場合には、貸主は正当な理由がなければ拒否することはできません。
そのため、借主が希望する限り、更新料などを支払えば原則更新されることになります。
貸主が更新を拒否できる正当な理由としては、以下のようなものがあります。
●貸主が建物を使用する必要性が、借主の必要性を上回っている場合
●借主の建物の利用状況が著しく悪い場合
●建物が著しく老朽化していて、居住に危険が伴う場合
●貸主が借主に立ち退き料を支払うことを申し出た場合
そのため、貸主がその物件を使いたい場合や、まだ使用できる建物を建て替えたいという場合には、借主に対して立ち退き料を支払う必要があります。
また、更新の手続きをおこなわなかった場合でも、契約終了の手続きをしなければ、契約は自動的に更新したものとみなされます。
これを、「法定更新」と言います。
一方、定期借家契約の場合はあらかじめ契約期間を定めていますので、貸主は正当な理由なく更新の拒否が可能です。
そのため、借主は貸主と交渉して再契約できない限り、退去しなければなりません。
つまり、普通借家契約は更新を前提とした契約、定期借家契約は更新を前提としていない契約ということになります。
定期借家契約の家賃はお得?
一般的な分譲賃貸のマンションは、設備のグレードが高いこともあり、同じ広さの通常の賃貸物件よりも家賃相場が高くなる傾向にあります。
しかし、定期借家契約の場合は、契約期間が限定されているにもかかわらず、敷金や礼金といった初期費用がかかってしまうため、分譲賃貸物件の中では比較的割安に設定されていることが多くなります。
地域にもよりますが、相場よりも5~10%程度安く設定されていることが一般的です。
どういう大家さんが多いの?
定期借家契約となっている賃貸物件は、貸主である大家さんが一般個人であることが多くなります。
分譲マンションや一戸建てを購入したものの、転勤などの事情により住めなくなってしまった場合などに、転勤から戻ってくるまでの期間だけ貸し出しているというようなケースが典型例です。
先にご説明したように、普通借家契約では、借主が賃貸借契約を更新したいと申し出た場合には、正当な理由なくこれを拒否することはできません。
家賃が低くなってしまうにもかかわらず、貸主が定期借家契約を選択する理由には、以下のようなものがあります。
●転勤から戻ったらまた自分の家に住みたいと考えている
●一定期間貸し出した後は売却したいと考えている
●当面住む予定はないが、将来は子どもに住ませたいと考えている
●マナーの悪い入居者に長く住んで欲しくない
それぞれの事情によって、定期借家の契約期間が異なります。
普通借家契約の場合は、更新することが前提であることから1~2年の契約期間となっていることが一般的ですが、定期借家契約の場合は半年程度の短いものから、5~10年の長期に渡るものまであります。
賃貸の定期借家契約は中途解約できる?
定期借家契約では、契約期間が満了したら退去しなければならないことがわかりました。
では、契約期間満了前に退去したい場合はどうなるのでしょうか?
ここでは、定期借家契約の中途解約について解説します。
原則として中途解約はできない
定期借家契約では、原則として中途解約はできない決まりになっています。
しかし、あらかじめ特約を結んでいる場合や、やむを得ない事情がある時は中途解約することもできます。
解約権留保特約
法律上は、貸主・借主どちらかの意向で中途解約することはできません。
しかし、あまりに条件を厳しくしてしまうと、夜逃げなどのトラブルが発生しやすくなってしまいます。
そのため、現実的にはあらかじめ特約を結ぶことで、期間中の解約が認めている例もあります。
これを解約権留保特約と呼びます。
解約申入期間(解約予告期間)については、民法の借地借家法の規定を適用します。
貸主(大家さん)からの解約を申し込みたい場合は、最低でも6か月前に伝えなければなりません。
借主(入居者)からの解約申し込みについては、あらかじめ合意がなければ3か月前までとなります。
中途解約権
あらかじめ解約権留保特約を結んでいない場合でも、やむを得ない理由がある場合に限り、解約が認められています。
中途解約権を行使して解約するためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
事業目的ではなく、居住目的で使用していること
事業用の店舗であっても、店舗付き住宅のように一部分を住居として使用していれば適用されます。
物件の延べ床面積が200㎡未満であること
店舗付き住宅の場合、店舗面積も含めた延べ床面積が200㎡以下でなければなりません。
やむを得ない事情により契約の継続が困難であること
病気や転勤などの事情で、住み続けることが難しい場合です。
しかし、それぞれの事情を「やむを得ない事情」と認めるかどうかについては明確なルールがなく、最終的には貸主が判断することになります。
上記の3つの条件を満たせば、退去の1か月前に申し込みすることで、中途解約が可能になります。
違約金を支払う
借主の一方的な理由で退去したいという場合であっても、残存期間(契約期間の残り)の家賃を違約金として支払ってもらえれば、貸主にとって経済的なダメージはありません。
たとえば、契約期間の終了まで残り3か月という場合には、3か月分の賃料を違約金として一括で支払うことで、中途解約が可能になります。
賃貸の定期借家契約は更新できる?
定期借家契約は更新を前提としない契約であるため、更新はできません。
契約期間終了の通知
期間満了後には契約が終了することになりますが、契約期間が1年以上である場合には、貸主は期間満了の6か月~1年前までに、契約満了により契約が終了することを借主に通知する決まりになっています。
この通知がなかった場合には、通知から6か月後まで住み続けることを主張できます。
双方合意の上で再契約できることもある
借主がどうしてもその物件に住み続けたいという場合、期間の満了前に貸主と交渉し、双方合意の上で、賃貸借契約の再契約をすることは可能です。
最近では、再契約を前提とした定期借家契約もあるため、物件によっては普通借家契約と同じような感覚で契約できるケースもあります。
ただし、とくにトラブルなく生活していた場合でも、貸主の都合によって再契約ができないということは十分にあり得ます。
また、再契約を結ぶ場合は、改めて賃貸の条件について交渉することになるため、敷金が上乗せされたり、礼金が再度発生する可能性があります。
家賃についても、周辺の家賃相場が上昇いているという場合には、従来よりも高くなってしまう可能性もあるため注意しましょう。
まとめ
更新ができないなど借主にとって制限の多い定期借家契約ですが、短期間で住みたい方や、賃料安く抑えたい方にとってはメリットもあります。
メリットとデメリットを比較検討して、自分に合う場合は、定期借家の物件も検討してみましょう。
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