賃貸物件の契約では、借主は必ず貸主による物件に関する事項について詳しい説明を受けた上で、同意のもとで進めていくことになりますが、その際には契約する物件が瑕疵物件ではないかどうか十分に注意することが大切です。
今回は、瑕疵物件とは具体的に何なのかについて、単語の意味から、一般的に広く認識される2種類の瑕疵についてもそれぞれご紹介していきます。
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まず、瑕疵物件の瑕疵とは具体的にどういう意味なのでしょうか?
使用している漢字が難しいこともあり、一般的にはあまり浸透していない単語と言えますが、瑕疵の読み方は「かし」で、不動産業界では頻繁に使われます。
名前だけだと複雑に感じますが、意味は欠陥や欠点と同じなので、基本的には瑕疵=欠陥、という認識で間違いありません。
つまり、この瑕疵物件とは、欠陥やマイナスな点など、貸主が物件を賃貸に出す際に障害となり得る条件と、契約の際には必ず借主に説明をする必要がある要素を含んだ物件のことを指します。
一言で欠陥と言ってもいまいちその内容が理解しづらいかもしれませんが、ここで瑕疵と呼ばれるものは大きく分けて、物理的瑕疵、心理的瑕疵、環境的瑕疵と法律的瑕疵の4種類があります。
今回この記事でご紹介するのは、これらの4種類のなかでもとくに瑕疵として一般的に扱われることの多い物理的瑕疵と心理的瑕疵の2つについてです。
この2種類を簡単にご説明すると、物理的瑕疵とは、実際に目で見て確認することのできる欠陥のことで、心理的瑕疵は、借主が住むうえで不安に感じてしまう点など、実証のない感情的な要因で欠陥とされるもので、事故物件とされる物件もその瑕疵の1つです。
誰しも事故物件と呼ばれる物件や、わかりやすい欠陥のある物件には住みたくないですよね。
実際に物件を探し始めてから契約するまでの間、借主側はさまざまな物件を見比べたうえで一番自分の理想と合った物件に決めることができますが、事前に借主から必要な説明を受けないまま決めてしまうと、今回ご紹介しているような瑕疵物件だったということに後から気づくようなケースもあります。
そうならないためにも、説明を受ける際には必ず十分に納得できるかどうか、隠されている事項はないかなど改めて確認をすることが大切で、もし不安に感じる点や、腑に落ちない点が合った場合には、必ずそのままにせず徹底的に理解したうえで契約に進むようにしましょう。
契約してから瑕疵に気がつくことがないようにするためには、まず瑕疵とは具体的にどのようなものがあるのか、事前の説明は受けられるのかなど、気になる点があると思いますが、ここからは契約の前に借主が知っておくべきことについて、物理的と心理的の2つの違いについて触れながらご紹介していきます。
物理的瑕疵物件とは
まずご紹介するのが、目視で確認することができるより一般的な瑕疵である物理的瑕疵物件です。
ここで物理的瑕疵とされるものは、先ほどにも少し触れたように単純にその物件にある欠陥で、土地や土壌など建物によって隠れてしまっているものを除いては、実際に確認することができる場合がほとんどです。
欠陥、という言葉だけでは実際に何が欠陥として当てはまるのか曖昧ですが、基本的には雨漏りや水漏れ、シロアリの被害のことを指し、これらは一度その被害にあった物件はもう一度被害に遭う可能性が上がってしまうため、物件の価値を大きく下げる要因となります。
そのほか、物件の耐震性が低かったり、不安定な土壌なども物理的瑕疵として扱われることがあります。
不動産の契約を結ぶ前には、瑕疵のあるなしに関わらず、必ず重要事項説明という説明の場が借主によって設けられることが一般的で、これは貸主の義務ですが、それにくわえて、もしその物件に瑕疵とされる欠陥がある場合には、貸主には必ずその説明をする告知義務が課せられます。
しかし一点注意が必要なのは、物理的瑕疵は、修繕工事などをおこなって瑕疵のある状態を改善することで告知をする必要はなくなるということです。
シロアリなど、再び被害に遭う可能性のある欠陥については工事の後にも説明されることがありますが、貸主の判断によって異なりますので、不安な場合には確認をとっておくと良いでしょう。
説明を受けるだけでは不安という場合でも、内見の際に物件を直接確認することもできますので、その後のトラブルを極力避けるためにも、内見で細かい部分まで確認しておくことは有効と言えるでしょう。
また、あとから瑕疵が判明した場合には、借主に与えられた権利として、契約不適合責任といった責任を貸主に請求することができますので、何か契約内容と異なる点や気掛かりな点が見つかった場合に利用することができるため、契約後でも借主にとっては知っておくと得な事項と言えるでしょう。
心理的瑕疵物件とは
次は、心理的瑕疵についてです。
心理的瑕疵のある物件とは、簡単に言ってしまうと事故物件とほとんど同義で、ここまでご紹介した物理的瑕疵と異なり、目に見える欠陥があるわけではなく借主の感情によって欠陥とされます。
心理的瑕疵の場合、明確な判断基準はありませんので、どこまでを欠陥とするのか貸主だけで判断することは困難で、また貸主が欠陥として認識したうえで契約時に説明をしても、借主側がとくに不満にも不安にも感じないといった事例もあり、その場合は心理的瑕疵には当てはまらないと言えます。
つまりこの場合は借主側の意見が大きく影響してくることになりますので、貸主が瑕疵がどうか一概に判断できないような要素は、借主の判断に委ねられるため、瑕疵として扱われる可能性があるものは原則説明があるおくことが理想的と言えるでしょう。
心理的瑕疵の判断基準は曖昧ですが、一般的には孤独死や自殺、事件性のある死亡事故が起きている場合や、物件の周辺に暴力団事務所や墓地や刑務所がある場合など、借主が安心して住むことができないリスクが考えられる場合は心理的瑕疵として告知する義務があると言えます。
心理的瑕疵物件における告知義務について、いつまで告知することが義務付けられているのか、物理的瑕疵に比べて曖昧な条件のため借主は不安に思うこともあるかもしれませんが、死亡などの瑕疵の原因となる出来事が発生してからおよそ3年から6年ほどが貸主に告知義務が課せられる期間とされています。
発生直後から数年は必ず告知されることになりますが、借主によっては10年以上前の瑕疵であったとしても知らせてほしい、という場合もあるかもしれません。
このように告知義務の期間に関しても、借主の感情によって説明の方法は変わってきますので、ここでも借主は十分に納得ができるよう説明を求めるなど、後から知ることがないよう慎重に契約に進む必要があると言えるでしょう。
また、一定の告知義務の期間が終わっていない場合でも、心理的瑕疵のある物件が一度賃貸借契約が結ばれて借主の手にわたり、その後借主が退去し新たに賃貸物件に出される場合には、十分な期間が経っていなくても告知義務は免除されることになりますので注意が必要です。
死亡の事例にもさまざまな種類があり、また欠陥の内容は死亡事故に限らずさまざまですので、このような場合には、借主側が契約後にトラブルなく安心して住むことができるように貸主の独断で決めるのではなく、十分に説明をしたうえで、判断は借主に委ねることが重要と言えます。
まとめ
今回は、不動産の賃貸借契約の前に知っておくべき瑕疵物件について、とくに大切なことを物理的と心理的な瑕疵の違いについて触れながらご紹介してきました。
実際に住み始めてからトラブルに巻き込まれることがないよう、賃貸借契約を結ぶ前には借主側が十分に注意をした上で進めていく必要があります。
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