経営者として不動産売却をおこなった場合、税金がいくらかかるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
また、個人と会社では税制上の扱いが異なるため、難しいと感じる方も少なくありません。
しかし、個人ではできない節税対策もあり、知っておいて損はないでしょう。
そこで今回は、法人の不動産売却における税金の違いや、計算方法、節税対策について解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら不動産売却における法人と個人の税金の違いとは
法人と個人では、不動産売却をおこなう際の税金の種類は異なります。
個人の場合は、個人が得た利益に対して発生しますが、法人では、会社全体の利益となるため、全体の売り上げの結果により税額が決定するためです。
ここでは、それぞれの税金の違いについてご説明します。
個人での売却
個人で不動産売却した場合は、不動産を取得したタイミングで「所得税」が発生します。
しかし、贈与を受けた場合はこの不動産所得税を支払う必要はありません。
不動産を売却し、利益を得た場合は所得税を計算し、支払いの手続きをおこないます。
一方、購入時より安くなり損失が出た場合や、利益が3,000万円以下の場合も、所得税の支払いは必要ない場合があります。
法人での売却
不動産売却をおこなう場合、会社の利益に対してかかる「法人税」が発生します。
また、利益を得た際は「譲渡所得税」という税金がかかってきます。
この譲渡所得税は、企業利益にも影響があるもので、不動産売却をして損失が出た場合は、会社として失敗したということになるのです。
失敗した場合は、会社の代表だけでなく、その会社に属している社員たちも不利益を被ることになります。
最終的には、会社全体の経営状態に影響が出るため、失敗も視野に入れたうえでの売上がなければ、課税対象とみなされてしまうでしょう。
さらに、売上を合算して税金が課されるため、個人よりも安いという特徴があります。
個人の場合は、所得の種類によって税金の税率が異なりますが、法人は種類に関係なく売上を合算して税金が課される仕組みです。
法人の不動産売却における税金の計算方法とは
不動産売却をおこなう際は税金の計算が必要です。
そして、売却した場合はさまざまな税金が発生するため、それぞれ確認していきましょう。
法人税
「課税所得×法人税率-控除額」の計算方法によって求めることができます。
また、年間所得が800万円以下の場合の税率は19%または15%ですが、800万円以上になると会社の規模によって税率も異なります。
普通法人は23.2%、協同組合等は19%、収益事業のある公益法人等は19%、収益事業があり人格のない社団等は23.2%です。
重課税
重課税とは、土地の長期譲渡や短期譲渡がおこなわれた際に、土地の譲渡に関する税金を計算することを言います。
土地の保有期間によって税金が異なり、取得日の翌日から譲渡した年の1月1日時点での所有期間が5年以下の場合は短期譲渡、5年越えの場合は長期譲渡となります。
短期譲渡所得の税率は5%、長期譲渡所得の税率は10%です。
このように、重課税は5年を超えるか超えないかで税率が決まる仕組みとなっています。
法人住民税
事業所がある自治体には住民税の納税義務が発生します。
「法人税割+均等割」の計算方法によって求めることができます。
税率は事業所のある地域によって異なり、東京23区では「都民税」が発生し、それ以外では「道府県民税」と「市町村民税」が自治体ごとに分けられているのです。
法人事業税
事業税は、収入と経費を合わせ利益を求めたうえで、最後に税金を計算します。
不動産の場合も、不動産で得た利益を課税対象とするのではなく、会社全体の利益を合算したうえで計算されています。
また、不動産で利益を得たとしても、会社の収益がマイナスの場合は計算方法が大きく変わってきます。
赤字となった場合でも、税金は支払わなくてはなりませんが、翌年に還付が可能です。
消費税
個人売却の際は消費税が発生しませんが、事業者となると不動産売却で消費税が発生します。
基本的に土地に対しての消費税は非課税となりますが、建物に対しては課税対象となります。
そのため、土地と建物で売却した場合は、土地の価格と建物の価格を分けて消費税を計算しなくてはなりません。
このときに多く用いられているのが、固定資産税評価額を使用する方法です。
計算方法は、固定資産税評価額の割合を出したうえで、土地と建物の総額に建物の割合を当てはめて求めます。
法人の不動産売却における節税対策とは
個人の場合は、居住用財産の3,000万円特別控除を受けたり、所有期間で税率が低くなるよう調整したりすることで節税対策ができます。
会社の場合そうはいきませんが、会社ならではの節税対策を3つご紹介します。
利益を分散させる
会社の場合は、利益を損失から差し引くことができます。
そのため、不動産売却によって利益が出た場合、ほかの所得に分散させて税率を下げるといったことが重要です。
たとえば、不動産を売却し大きな利益を得た場合、その利益分を役員退職金として支給する方法があります。
具体的には、勤続40年の創業者が引退する年に合わせて、不動産を売却することで税金を抑えることが可能です。
また、役員退職金を支給した際、受け取る側は税金を納めなくてはなりません。
「退職所得=(退職金-退職所得控除額)×1/2」という計算方法によって求めることができます。
退職所得控除は、勤続20年以下では「40万円×勤続年数」、20年超えでは「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」です。
勤続40年で実際に退職所得控除を計算してみると、「800万円+70万円×(40年-20年)=2,200万円」となります。
このときの退職金が3,000万円だった場合の退職所得は、「(3,000万円-2,200万円)×1/2=400万円」です。
3,000万円の退職金を受け取ったとしても、課税対象となるのはわずか400万円であるため、受け取る側としても税金が抑えられるというメリットがあります。
設備投資をおこなう
不動産売却によって得た利益を、設備投資に充てて税の負担を軽減する方法もあります。
たとえば、不動産やパソコンを購入したり、オフィスのクロスを張り替えたり、社用車を買い替えたりといった方法が考えられます。
また、設備投資をする際は、「中小企業投資促進税制」の利用を検討しておきましょう。
中小企業投資促進税制が適用された場合、1台160万円以上の機械装置や1つ70万円以上のソフトウェアを取得した際に「特別償却」または「税額控除」を受けることができます。
特別償却は、減価償却費に加え一定金額を経費として計上できる制度で、条件を満たした際に取得価額の30%を特別償却として適用します。
一方、税額控除は、法人税額から直接一定の金額を差し引く制度で、条件を満たした際は取得価額の7%が税額控除となるのです。
特別控除を適用する
土地が収用の対象となった場合に使用できるのが特別控除です。
収用とは、国や地方公共団体が、土地の権利を公共的な目的のために強制取得することを言います。
収用による損失に対し、最大5,000万円までの特別控除が国から受けられます。
節税効果は高くなりますが、極めて限定的なものとなるため注意が必要です。
まとめ
不動産売却をおこなう際、個人では所得税が発生するのに対し、法人では法人税や譲渡所得税などが発生します。
計算方法は、「課税所得×法人税率-控除額」によって求められますが、税率は会社の規模によって異なるため注意が必要です。
また、利益の分散や設備投資、特別控除の適用も節税対策と言えるでしょう。
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