「持ち家を売却したいけど、家が古くて修繕費が高くなりそう。」
不動産の売却を検討している方のなかには、このような理由でなかなか行動に移せないという方も多いのではないでしょうか。
古い家を売却する際は、修繕や修復をおこなわずに売却する「現状渡し」によって、修繕費をかけずにお得に売却できる可能性があります。
そこで今回は、不動産売却における現状渡しとは何か、そのメリットとデメリットについて解説します。
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現状渡しとは、その物件にある欠陥や破損部分を買主に事前に伝えたうえで契約を締結し、修復せずに売却する方法です。
壁紙の破れや雨漏り、外壁にひびがあっても、そのままで売却します。
現状のまま売るといっても、物件内に家具や家電を放置して良いわけではありません。
あくまで告知済みの欠陥だけを、そのままの状態で売却します。
中古物件のなかでも築年数が30年以上経過している不動産は、売却額より修繕費のほうが高額になりやすく、売却で損をする可能性があります。
目に見える欠損をできるだけ明らかにして、修理をおこなわないことを前提に買主に購入してもらえる現状渡しがおすすめです。
さらに、現状渡しの物件は不具合がある分だけ値引きして売るケースが多く、安く購入してリフォームを考えている買主からの需要があります。
値引きをしても早く物件を売りたい、という方にもおすすめの方法です。
契約不適合責任とは?
現状渡しの場合、欠陥が残った物件を引き渡すため、後でさまざまな欠陥が見つかってトラブルになるリスクが大きいです。
契約内容に適さない状態で物件を引き渡すと「契約不適合責任」に問われる可能性があります。
万が一、雨漏りやシロアリ被害などが発覚した場合、引き渡し後であっても契約内容どおりになるように売主が修繕、または賠償金を支払う必要があります。
売主がその欠陥を知らずに売却していたとしても責任を問われるので、注意が必要です。
ただし、買主と合意したうえで契約内容に特約を盛り込むことで、特約の内容に該当する欠陥に関しては免責することもできます。
告知義務とは?
過去に人の死が発生している居住用物件には「告知義務」があります。
人の死があった事実が取引相手の判断に大きく影響すると考えられる場合は、それを伝えなければならないと定められています。
ただし、自然死や不慮の死、死の発生もしくは特殊清掃から3年が経過している場合は、告げなくても良いとされています。
しかし、告げなくても良い事案であっても、買主側からそのような事実がないか問われた際には、必ず伝えなければなりません。
告知義務に該当する事実に限らず、知っていることはすべて買主に報告するようにしましょう。
不動産売却において現状渡しをするお互いのメリットとは?
では、現状渡しをする場合、売主と買主にはそれぞれどんなメリットがあるのでしょうか?
メリット①:コストがかからない
現状渡しの最大のメリットは、コストや手間がかからない点です。
不動産売却には仲介と買取の2つの方法がありますが、どちらの場合であっても修繕や清掃費用が節約できます。
買主によっては気に入った家具家電があれば引き取ってくれることもあり、それらの処分にかかる手間も省けるでしょう。
しかし、買主としては同じ価格の物件であれば、できるだけ欠陥が少ない物件を選びたいものです。
現状渡しの成功には、どんなに些細な問題点でも買主へ告知し、適切な説明を怠らないことが重要になります。
メリット②:早期売却が可能
修繕工事をおこなう場合は、業者探しから始まりスケジュール調整、着工、工事完了と、かなりの時間がかかります。
しかし、現状渡しでは補修や修繕の必要がないため、工事の期間をスケジュールに組み込む必要がありません。
その分早く売却活動がおこなえて、購入希望者の内見もすぐに案内できるため、早期に売れる可能性が高くなります。
また、内見後すぐに購入できる点は、買主にとっても大きなメリットと言えるでしょう。
メリット③:買取は契約不適合責任が免責される
なかなか買い手が見つからない、物件が古くて値段が付かないなどの場合は、不動産会社に買取を依頼するのもひとつの方法です。
買取には契約不適合責任が適用されないため、現状渡しで買い取ってもらえます。
不具合が見つかりそうな物件でも売りやすくなるため、とにかく早くリスクを抑えて手放したい方におすすめです。
不動産売却において現状渡しをするお互いのデメリットとは?
現状渡しには魅力的なメリットだけでなく、売主と買主それぞれにデメリットも存在します。
デメリット①:契約不適合責任に問われる可能性がある
現状渡しでは、物件の不具合もそのままで売却します。
そのため、契約書に記載のない不具合が後から発見され、契約不適合責任に問われるリスクが高いです。
契約後に契約内容以外の不具合があるかもしれない点は、買主にとってもデメリットのひとつと言えるでしょう。
デメリット②:売却価格が安い
現状渡しの場合、価格は相場より安くなることが多いのが現状です。
不具合があることを前提としているため、買主から値引き交渉を受けることが多くなります。
そのため、値引き交渉を前提に売り出し、価格を決めることをおすすめします。
また、値引き交渉を受ける場合は、値引き額の下限を決めておくことも重要なポイントです。
金額を明確に定めておくことによって、不動産会社との連携もとりやすくなるでしょう。
デメリット③:通常物件より売れにくい
同じ価格の通常物件と比較すると、現状渡しの物件は売れにくい傾向があります。
買主にとっても、同じ価格であれば欠陥のない物件のほうが良いでしょう。
そのため、通常よりも安価で売れるまでに時間がかかることも多いです。
少しでも早く売りたい場合は、リフォームをしたほうが良いケースもあります。
現状渡しで売却する際の注意点とは?
これらのメリットとデメリットを踏まえて、現状渡しの売却で気を付けたい、3つの注意点をご紹介します。
1つ目は、不具合を隠さないことです。
たとえば、キッチンの扉の立て付けが悪い、壁紙が少しだけ破れているなどの些細な不具合であっても、告知しなかった場合は後から責任を問われる可能性があります。
こうした不具合は住んでみなければわからないこともあるため、インスペクションや耐震診断、シロアリ検査なども利用して、事前に詳しく調べておきましょう。
2つ目は、残置物を片付けること。
現状で引き渡すといっても、不要な家具やゴミを放置して良いわけではありません。
売主の責任ですべて片付け、室内や庭も残置物を残さずに引き渡しましょう。
3つ目は、訪問査定が完了してから修理の判断をおこなうという点です。
訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に不動産の状態をチェックすること。
査定額と修繕費の比較や、目的に合った売却方法の参考にもなるため、より細かく判断ができる訪問査定を受けたうえで、修理をおこなうかどうかを判断をすると良いでしょう。
まとめ
欠陥や破損部分を事前に買主に伝えたうえで契約を締結し、修復をおこなわずに売却する方法を現状渡しといいます。
コストがかからず、早期売却が可能で、買取であれば契約不適合責任が免責される点がメリットです。
一方で、契約不適合責任に問われる可能性が高いことや、売却価格が安く売れにくいといった点がデメリットでもあります。
現状渡しでの不動産売却を検討する際は、不具合を隠さないこと、残置物を片付けること、訪問査定の後で修理するかどうかを判断することを意識しましょう。
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